小児の酸蝕歯 横浜・中川駅前歯科クリニック
●酸蝕歯とは

毎日摂取している飲食物には、酸が含まれています。その酸などによって歯が溶け、薄くなった歯を「酸蝕歯(さんしょくし)」といいます。乳歯や生えたばかりの永久歯は、歯質が軟らかく、酸蝕歯になりやすい傾向にあります。酸蝕歯になると、歯が欠けてきたり、しみるなどの症状をもたらします。

酸蝕歯 進行した酸蝕歯(歯が溶けて、歯の先端にキズや破折がみられます)

関連するページ  酸蝕歯(さんしょくし)  酸蝕歯 Q&A  酸蝕歯セルフチェック表



●小児の酸蝕歯の原因

小児の酸蝕歯の原因としては、飲食物、胃食道逆流症などがあります。歯はph5.5(ph7が中性、7未満は酸性)以下の酸で溶けます。通常は飲食物の酸によって歯が溶けても、唾液によって歯は修復されるので問題はありません。

しかしながら、ジュースやスポーツドリンクなど酸性の飲み物を寝る前に飲む、水代わりに頻繁に飲む、哺乳瓶やストローマグ(ベビー用マグカップ)を使用して長時間の飲む、おやつをだらだら食べるなど摂取方法を誤ると、歯は溶けて「酸蝕歯」になります。その他には、胃食道逆流症、薬の服用などにより酸蝕歯になることもあります。


1)乳酸飲料
乳酸飲料はph3.3〜3.6と、酸性度が強い飲み物です。食事のときに飲むのであれば問題はありませんが、寝る前に飲むなど摂取方法を誤ると、酸蝕歯になります。

乳酸菌飲料 乳酸菌飲料は飲むタイミングに注意します

関連するページ  酸蝕症(酸蝕歯)の原因  酸蝕症の原因(世代別)


2)果汁100%ジュース、野菜ジュース
乳酸菌飲料と同様に「体に良いもの」として摂取する機会が多い飲み物ですが、オレンジジュースでph3.8と酸性度が強く、摂取方法を誤ると酸蝕歯になります。

オレンジジュース 柑橘類は酸性度が高い傾向にあります


3)スポーツドリンク
乳酸飲料と同様に、スポーツドリンクもほとんどの製品がph4.0以下となっており、酸性度が強い飲み物です。水分補給として水代わりに頻繁に摂取すると、酸蝕歯になります。

関連するページ  スポーツドリンクと経口補水液


4)胃食道逆流症
小さなお子さんは食道や胃の発達が未熟なため、胃の内容物が食道に逆流してしまうことがあります。また、授乳の姿勢や授乳量によっては、逆流がおきることがあります。小児の胃食道逆流症は、嘔吐を繰り返すことがあり、酸蝕歯の原因になります。

最も逆流が多くみられるのは主に生後6〜7ヶ月頃で、それ以降は次第に減っていきます。逆流がみられる場合でも、1歳半頃までには逆流をおこさなくなります。

関連するページ  胃食道逆流症(逆流性食道炎)  胃食道逆流症と酸蝕症(酸蝕歯)


5)薬
アスピリン、ビタミン剤、鉄剤など酸性の薬剤は、酸蝕歯の原因になることがあります。薬の服用後は水でよくうがいをおこなうようにします。

アスピリン アスピリンは解熱・鎮痛薬として広く使用されています

関連するページ  歯痛に効く市販の鎮痛剤


6)摂食障害
摂食障害(過食症、拒食症)の若い患者さんは多くいます。10〜15歳での発症が増加しています。女性に多く、やせ願望によるダイエット、給食で完食を強要された経験、嘔吐への恐怖などを原因とすること多い傾向にあります。摂食障害を発症すると、食生活、嘔吐などにより酸蝕歯になりやすくなります。

関連するページ  摂食障害  中学生、高校生の摂食障害とお口の健康


7)その他
自閉スペクトラム症のお子さんは同一性保持傾向が強く、それが「食」にあらわれると、拒食、偏食、過食、嘔吐によって酸蝕歯になることがあります。ダウン症のお子さんも過食や嘔吐によって酸蝕歯になることがあります。

脳性麻痺のお子さんは、高い割合で胃食道逆流症をおこすとされています。また、飲み物で糖分を摂取しなければならない場合があり、スポーツドリンクを常用していることがあります。合併症により、いくつもの薬を常用していることもあります。これらにより酸蝕歯になることがあります。

食事 偏食、嘔吐は酸蝕歯の原因になります

関連するページ  自閉スペクトラム症  ダウン症候群  脳性麻痺



小児の酸蝕歯の予防と治療

酸性の食品を飲食したら必ず酸蝕歯になるわけではありません。食生活、歯みがき方法を工夫することにより、多くは予防されます。

口の中で長く飲み物を置かず、ストローを口の奥にあてて飲むなど、飲み方を工夫するほか、摂取頻度を少なくしたり、寝る前に飲まないなど、摂取時間を考慮する必要があります。

強酸性の飲食物の摂取後は、歯の表面が酸によって軟らかくなっています。摂取直後に歯をみがくと、歯が簡単に擦り減ってしまうので注意が必要です。また、歯がしみる「知覚過敏」の原因にもなります。強酸性の飲食物の摂取後はお茶や水などで口の中を中和して、1時間以上たってから歯をみがくようにします。

酸蝕歯の予防には、歯科医院で定期的に検診をおこない、歯の表面に異常がないかのチェックを受けることも大切です。必要に応じて予防処置(歯のクリーニングなど)をおこなったり、歯みがき方法、飲食物の摂取方法などのアドバイスを受けることも欠かせません。治療では、酸によって溶けた部分を修復していきます。


酸蝕歯の予防と治療
  酸蝕歯の予防 酸蝕歯の治療
自宅  フッ素洗口
食生活の工夫、改善
酸蝕歯予防の歯みがき粉の使用
歯科医院 歯のクリーニング(清掃)
フッ素塗布
予防方法のご説明
酸によって溶けた部分の修復

フッ素塗布 歯科医院でのフッ素塗布

関連するページ  歯のクリーニング(PMTC、酸蝕歯予防)  フッ素洗口  フッ素塗布


中川駅前歯科クリニックでは、お子様の酸蝕歯の検査、診断、治療をおこなっているほか、お子様、保護者の方に対して酸蝕歯の予防方法をご説明させていただきます。ご不明な点等がありましたら、ご来院の際にお気軽にスタッフにお問い合わせください。



※当クリニックへのアクセスについては、下記のページをご覧ください。
  交通アクセス・駐車場案内図(横浜市都筑区、港北区など近隣よりご来院の方)
  青葉区・宮前区からのご来院(横浜市青葉区、川崎市宮前区からご来院の方)
  小田急線沿線からのご来院(東京都町田市、川崎市麻生区、多摩区などからご来院の方)
  横浜線沿線からのご来院(横浜市緑区、相模原市などからご来院の方)
  南武線沿線からのご来院(川崎市中原区、高津区などからご来院の方)
  広域路線図 広域道路地図(神奈川県、東京都からご来院の方)
  新幹線・飛行機でのご来院(神奈川県、東京都以外からご来院の方)



関連するページ  酸蝕症  小児歯科


小児の酸蝕歯