性感染症と口腔 横浜・中川駅前歯科クリニック
性感染症と口腔
性感染症と口腔

近年、これまで性器にみられた性感染症が、口からの感染機会の増加により口内にも見られるようになりました。また、口内が感染源となることも生じてきました。

口内は常在菌の存在や唾液による抗菌作用などにより症状があらわれにくいものの、性感染症の症状が最初に口内にあらわれることがあります。そのため、歯科医院に来院する人も多くいます。口内に症状があらわれる性感染症としては下記があります。

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口腔カンジダ症  痛み、味覚障害、口角炎 発症者は非常に多い がん化することも

女性の15%は膣内にカンジダ(細菌)がいるとされています。また成人の40~50%は口内にカンジダがいるとされています。無症状であることが多いものの、性的接触により感染して口内にカンジダ症を発症することがあります。

発症すると舌や口蓋(口の天井)の痛み、味覚障害(口内が苦い、しょっぱい、すっぱい)などの症状があらわれます。当クリニックでは、風俗店や女性との性的接触の後に口腔カンジダ症を発症して来院される男性が多く、増加傾向にあります。

口腔カンジダ症の一つである肥厚性カンジダ症は、WHO(世界保健機関)ががんになる可能性のある「口腔潜在的悪性疾患」の一つに定めています。

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梅毒  痛み、口内炎、口角炎 爆発的に感染者数が増加 死に至ることもある

梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が引きおこす感染症で、主に性的接触によって感染します。昔は多くの臓器に腫瘍が発生したり、脳、神経が侵され「感染すると死に至る病気」と恐れられていました。

現在では治療方法が確立されており、死亡することはまずありませんが、母親が梅毒で無治療の場合は40%が流産もしくは新生児期に死亡、40%が子供は生まれつきの梅毒で前歯の変形(ハッチンソン歯)、難聴、視力障害などを発症、20%は正常児となります。

感染力が強く、1回の性的接触で感染する確率は15~30%と高く、2010年代になり感染者数は爆発的に増加、2022年は感染者数が1万人を超えました。男性は20~50歳代、女性は20歳代が圧倒的多く次いで30歳代の感染が多く、東京、大阪及びその周辺地域に感染者が集中しています。

感染後3週間ほどして、口唇(最も多い)、舌、口蓋に痛みのない1~2cmの塊(結節)ができます。この塊は1週間ほどしてなくなります(第1期)。また、あごや首が痛みなく硬く腫れます。

感染後3ヶ月以降では、全身に症状が広がり、舌、口蓋、のどが白くなり、ただれたり、痛みがでたり、口角炎ができたりします(第2期)。梅毒による舌炎はWHO(世界保健機関)ががんになる可能性のある「口腔潜在的悪性疾患」の一つに定めています。


梅毒感染者の報告数(厚生労働省) 2022年は10月に1万人を突破
梅毒感染者数の推移

繁華街

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淋病(りんびょう)  痛み、口内炎 2020年の感染者数は8747人

淋病は「淋菌(りんきん)」という細菌が引きおこす感染症で、梅毒同様に性的接触によって感染します。

男性は排尿時に激しい痛みが生じることがあるものの、女性は自覚症状が生じず、気付かないことが多い傾向があります。放置すると女性は不妊症、子供の失明の原因になることがあります。性器に淋菌をもっている人の10~30%は口内にも淋菌が存在するとされ、風俗店で働く女性からの検出率が高い傾向にあります。

歯肉、舌、頬、のどの粘膜が赤くなったり、黄白色の膜でおおわれたり、痛みがでることがあります。地図状舌のような舌の変化がおきることもあります。口からの感染機会の増加により、口内やのどに症状があらわれる人は増加傾向にあります。

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クラミジア感染症  痛み、口内炎 2020年の感染者数は28381人

世界的にも患者数が多く、「クラミジア・トラコマチス」という細菌による感染症です。性的接触により感染し、20~30歳代に多く、無症状の感染者が多い、口から感染する人が増加傾向にあるなど淋病と共通点が多い感染症です。症状はのどの痛みなどです。



単純ヘルペスウイルス感染症  2020年の性器ヘルペス感染者数は9000人

単純ヘルペスウイルスによる感染症で、1型(口の粘膜)と2型(性器)があり、感染しても90%が無症状で終わるものの、10%は発熱、摂食障害(食事が困難)、のどの痛み、口内炎のほか、口唇や口内の粘膜に多数の水ぶくれができます。

感染力が強く、昔は家族間でのキス、頬ずりなどの接触によって感染、ほとんど人が5歳までに感染していましたが、近年では大人になってからの感染が増加しています。性的接触としては、男性は30歳代、女性は20歳代が最も多い傾向があります。

スキンシップ

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後天性免疫不全症候群(エイズ、AIDS)  口内炎、口腔カンジダ症

エイズウイルス(ヒト免疫不全ウイルス、HIV)による感染は、口内にも症状があらわれます。特に口腔カンジダ症(偽膜性カンジダ症)は、感染初期にあらわれる症状として有名です。

口腔カンジダ症以外では、舌前方の舌縁に垂直に走る白斑(毛様白板症)、口内炎(アフタ性口内炎、ウイルス性口内炎)、口蓋(最も多い)、歯肉、舌にできる悪性腫瘍(カボシ肉腫)などの症状があらわれます。免疫力低下により歯周病が進行しやすくなります。

医科大学の研究者がおこなった調査では、エイズ患者の67%が口の中に症状がみられ、最も多いのが口腔カンジダ症で47%、次いで口内炎が16%、毛状白板症が12%でした。

レッドリボン



口腔・咽頭がん ウイルス感染により発症するとされている

子宮頸がんの原因として知られているヒトパピローマウイルス(HPV)ですが、性的接触によって口内に感染することもあります。

ヒトパピローマウイルスは口腔がん(舌がん、歯肉がんほか)、中咽頭がん(舌のつけ根、のどのがん)の原因の一つとされています。特に中咽頭がんの7割からHPVが見つかったとの報告もあり、性行動の多様化が感染、がんの発症要因とされています。

予防にはHPVワクチン接種のほか、唾液からもHPVが見つかることがあるので歯科医院での定期的な歯の清掃(歯のクリーニング)のほか、禁煙も有効な予防方法と考えられています。

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