●歯の白斑 虫歯によるものと、虫歯以外によるものがあります

歯の色が通常よりも白くなっている部分を「白斑(はくはん)」といいます。歯の白いしみ、歯の白濁、ホワイトスポットといわれることもあります。

白斑には初期虫歯が原因のもの、生まれつきや乳歯外傷の影響を受けた永久歯など、虫歯以外が原因のものがあります。

初期虫歯が原因の白斑は、表面がザラザラで、光沢がない傾向にあります。一方で虫歯以外が原因のものは、表面は通常の歯と同じようにツルツルしている傾向があります。

  虫歯が原因の白斑
(初期虫歯)
虫歯以外が原因の白斑
(エナメル質形成不全)
原因

歯の清掃不良/甘い物など食生活の問題/歯科医院での予防処置(定期検診)が不十分/乳歯虫歯の影響を受けた永久歯

遺伝/母体の栄養障害、感染症/早産/乳歯外傷の影響を受けた永久歯/幼少時の高熱/感染(梅毒、風疹)/歯の形成時期の栄養不足
好発部位 歯頚部(歯の根もと) 上顎中切歯(上あごの前歯)
歯の中央から先端にかけて
見た目 表面がザラザラ 光沢がない 表面に光沢がありツルツルしている
写真

「(白斑が)初期虫歯かどうかをみてほしい」、「(白斑の)虫歯予防対策を教えてほしい」、「MIHかをみてほしい」などのご相談を、患者様や保護者の方からしばしば受けます。お気軽にご来院、ご相談ください。

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エナメル質形成不全(MIH) 日本では2010年代になって研究が進められています

第1大臼歯(前から6番目の歯)と切歯(前から1、2番目の歯)に限定して発症するエナメル質形成不全を「MIH(Molar Incisor Hypomineralisation)」といいます。日本語の病名はまだありません。

2001年にオランダの研究者によって世界で初めて報告され、2003年に診断基準ができ、日本では2010年代になって研究が始まりました。罹患率は高く、当クリニックでも多くの人にみられます。

新たにできた病気ではなく、先進国では虫歯が激減したため、これまで虫歯として診断されていたエナメル質形成不全歯が虫歯と区別しやすくなり、MIHの存在が明らかになりました。

MIHは歯の白斑(エナメル質形成不全)とは異なり、歯の色が褐色など変色しており、表面もザラザラしています。歯がしみることもあります。そのため、虫歯として治療をされてしまうこともあり、注意が必要となります。

小児期では、気付かない間に歯が突然欠けてしまったり、欠けたことによってかみ合わせが変化してしまうことがあるため、定期的に歯科医院で検診を受けていく必要があります。

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歯の白斑の出現率とMIHの罹患率 非常に高い発現率、罹患率となっています

歯の白斑の出現頻度は歯科大学で大規模調査がおこなわれ、12%〜27%の出現率となっています。

MIHの罹患率は2012年に東京歯科大学で初めて大規模調査がおこなわれ、2018年に日本小児歯科学会が大規模調査をおこないました。11〜19%の罹患率、西日本で高く、東日本で低い罹患率となっています。


出現率、罹患率
研究者 対象者 結果
朝日大学
歯学部
1130人 乳歯列期の12%、混合歯列期の27%、永久歯列期の23%に白斑がみられた。
岡山大学
歯学部
 365人 小学3年〜6年生を対象に調査したところ、永久歯の15%に虫歯が原因の白斑(初期虫歯)がみられた。
東京歯科
大学
1753人  千葉県の小学生を対象にに調査をおこなったところ、エナメル質形成不全(MIH)の有病率は11%であった。
日本小児
歯科学会
4985人 7〜9歳の小児を対象に調査をおこなったところ、エナメル質形成不全(MIH)の有病率は19%であった。有病率は四国28%、九州25%と西日本で高く、北海道14%、東北11%と東日本で低い傾向があった。



歯の白斑、MIHの治療 治療をせず、経過をみていくこともあります

1)虫歯が原因の白斑(初期虫歯)
虫歯が原因の白斑は、何も対策をおこなわなければ虫歯が進行していきますが、予防処置をしっかりおこなえば改善されます。

家庭では食生活の改善・見直し、歯みがき方法の見直しをおこない、虫歯が進行しないようにします。歯科医院では歯のクリーニング、フッ素塗布をおこなっていきます。

歯のクリーニング 歯のクリーニング(PMTC)

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2)虫歯以外が原因の白斑
治療の必要はありませんが、見た目が気になるようであれば、セラミックスなどを使用した審美歯科治療をおこなうことで白斑を改善します。ホワイトニングや歯のマニキュアは、十分な効果が得られなかったり、かえって目立ってしまうことがあるため、あまりおこなわれません。

関連するページ  ホワイトニング・歯のマニキュア  審美歯科



3)エナメル質形成不全(MIH)の治療
小児ではかみ合わせが安定せず、歯が欠けてしまうこともあります。この場合はコンポジットレジンなどの歯を削る量が少ない治療を一時的な治療としておこない、かみ合わせや歯並びの維持をおこないます。あごの成長が終わり、かみ合わせが安定してから、本格的な治療をおこないます。

虫歯になりやすく、また虫歯の進行が速いため、歯のクリーニング、フッ素塗布など、定期的な歯科医院での予防処置が必要となります。

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4)アイコン(Icon)
白斑を消す画期的な治療方法。歯に特殊なプラスチック(レジン)を塗り、麻酔はせず、歯を削らずらないだけでなく、歯を強くする効果もあります。治療も1回で終わります。

アイコン(ICON)

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