小児の睡眠時無呼吸症候群の診断基準※1

これまで小児の睡眠時無呼吸症候群は、成人に準じた治療がおこなわれ、成人と同じ検査方法や診断基準を用いてきた医療機関も多くありました。

2005年に睡眠障害国際分類第2版(International Classification of Sleep Disorders、ICSD2)において、小児の睡眠時無呼吸症候群が独立した病気として、ようやく取り上げられるようになりました。

睡眠障害国際分類第2版によると、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)で1時間に1回以上の無呼吸あるいは低呼吸(AHI)がある、養育者からいびきや無呼吸の報告があるなどの基準を満たせば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。


小児の睡眠時無呼吸症候群の診断基準
A.養育者から睡眠中のいびき、努力性あるいは閉塞性の呼吸が報告される。

B.養育者によって、以下のうち少なくとも一つが該当するとの報告がある。
呼気時に胸部が内側に動く   体動を伴った覚醒   発汗   成長の遅れ   朝の頭痛
睡眠時の頚部の過伸展    昼間の過度の眠気、多動性、攻撃的な性格   続発性の夜尿

C.PSG検査にてAHIが1以上。

D.PSG検査にて以下の1)、もしくは2)が認められる。
1)以下のうち、少なくとも一つが認められる。
呼吸努力の増大に関連した睡眠中の頻繁な覚醒      睡眠中の高二酸化炭素血症
無呼吸のエピソードに関連した動脈血酸素飽和度の低下   顕著な陰性食道内圧変動

2)睡眠中にいびきや呼気時に胸部が内側に動くのに一致した、高二酸化炭素血症、または酸素飽和度低下がみられる。
睡眠中の頻繁な覚醒    顕著な陰性食道内圧変動

E.他の睡眠関連疾患、内科・神経疾患、薬の影響、物質使用障害では説明できない。

関連するページ  子供の睡眠時無呼吸症候群  AHIとは



小児の睡眠時無呼吸症候群の検査方法

検査方法には、ビデオ録画、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)等の方法があります。
ただし、小児の検査をおこなっている医療機関は日本では極めて少なく、独自の診断基準を設けて検査をおこなっている医療機関もあります。


1)ビデオ録画
簡単な割に情報量が多く有効な方法です。いびきや無呼吸の状態、小児の睡眠時無呼吸症候群に特徴的な胸が陥没した呼吸(陥没呼吸)を確認することができます。ビデオ録画が難しい場合は、陥没呼吸の有無だけでも確認するようにします。


ビデオ撮影のコツ
寝始めよりも明け方のほうが浅い睡眠が多く、症状がわかりやすい傾向にあります。

顔だけでなく、陥没呼吸がわかるように胸部、腹部も映るように撮影します。また、胸をはだけた状態で撮影します。

30分から1時間ほど撮影すれば十分です。


2)終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)※2
一晩医療機関に宿泊しておこなう精密検査。いびきや無呼吸の状態、脳波、心臓や筋肉の動きなどがわかります。睡眠時無呼吸症候群の代表的、かつ最も重要な検査です。

小児の終夜睡眠ポリグラフ検査は、成人に比べると3~4倍も人手がかかり、現在の健康保険制度では医療機関は人件費すら賄いきれません。また、終夜睡眠ポリグラフ検査の判読方法は統一された基準がなく、2007年にアメリカ睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine)が定めた基準によってようやく統一されてきたばかりで、対応できる検査技師、医師は僅かとなっています。

上記の理由により、小児の終夜睡眠ポリグラフ検査をおこなっている医療機関は、残念ながらごく一部にとどまっています。

関連するページ  終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)


3)簡易検査(パルスオキシメータ、携帯用睡眠時無呼吸検査装置)
終夜ポリグラフ検査(PSG検査)を簡略した検査。簡単にできる反面、検査できる項目も限られています。

寝返りが多い小児は装置が外れやすく、小児は装置では検出しにくい呼吸(努力性呼吸)が多いなど、検査の正確性を疑問視する声もあります。

関連するページ  簡易検査


4)スリープレコーダ
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)では、体のあちこちにセンサを装着しなければならず、睡眠中の小児は体動が激しくセンサが外れることもあり、検査を難しくしていました。

新しい検査装置「スリープレコーダ」は感圧センサを内蔵したシートで、ベッドなどの寝具の上に敷いて眠るだけで検査できます。2007年に開発され、2010年に健康保険が適応となりました。今後の普及が期待されます。

関連するページ(外部サイト)  http://www.gitc.pref.nagano.lg.jp/pdf/suimin.pdf


 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査) 1    スリープレコーダ 2    スリープレコーダ 3

1.終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)では、鼻、のど、手などに多数のセンサを装着する必要がありました。
2.スリープレコーダはマットの上で寝るだけで測定できます。
3.スリープレコーダ。2010年に健康保険適応になりました。小児への使用が期待されています。



5)録音
典型的な睡眠時無呼吸症候群は、呼吸の状態からわかることがあります。


6)行動観察
睡眠中の小児の状態を観察します。陥没呼吸、明らかな無呼吸は観察によりわかります。



上記検査は当クリニックではおこなっておりません。小児の睡眠時無呼吸症候群については対応している医療機関が極めて少なく、いくつもの医療機関を受診された末に当クリニックに来院される患者様が殆どです。医療機関がお分かりにならない場合は、症状を診させていただいた後に、当クリニックにて治療、あるいは最も適当と思われる医療機関をご紹介させていただくことも可能です。


※1 .International Classification of Sleep Disorders – Second Edition (ICSD-2) American Academy of Sleep Medicine ※2 The AASM Manual for the Scoring of Sleep and Associated Events: Rules, Terminology and Technical Specifications. American Academy of Sleep Medicine


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小児の睡眠時無呼吸症候群検査
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