小児の歯科金属アレルギー 横浜・中川駅前歯科クリニック
小児の歯科金属アレルギー
金属アレルギーとは

「金歯」、「銀歯」などといわれるように、歯科治療では頻繁に金属が使われています。これらの金属によって、アレルギーが引きおこされることがあります。

症状としては皮膚がカサカサになる、赤くなるなど、全身に症状があらわれることが多く、口の中に症状があらわれることは殆どありません


金属アレルギーの症状
接触性皮膚炎/顔面湿疹/蕁麻疹/アトピー性皮膚炎
/口内炎 ほか

腕 口の中の金属が原因で、顔や手足などの皮膚に症状があらわれます

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小児の金属アレルギーの発症頻度

金属アレルギーの患者さん多くは、長年にわたって金属に接していくうちにアレルギー体質になり、発症していきます。そのため、肌の変化に敏感で、発症しやすい年齢である30〜40歳代の患者さんが最も多くなっています。

小児は金属に接する機会がまだ少ないため、小児の金属アレルギーの患者さんはまれです。中川駅前歯科クリニックに金属アレルギーのご相談、治療を目的として来院された患者様(500人)のうち、30歳代は35%、40歳代が24%と多く、19歳以下はわずか0.6%となっています。

一方で、保護者の方が気付かないことも多くあります。初診時は口の中が銀歯だらけで、虫歯治療の過程で銀歯からプラスチックのつめ物にかえたところ、アトピー性皮膚炎が完治したお子さんなどを経験しています。

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アレルギーをおこしやすい物質

日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会の調査によると、接触することによってアレルギーを引きおこす物質としてはニッケル、クロム、ウルシオールなどが上位となっています。毎回の調査で金属が上位にあげられています。

ニッケル、クロムは「乳歯冠(乳歯の銀歯)」に使用され、水銀は「アマルガム合金(銀歯)」に使用されています。アマルガム合金は2016年に健康保険から外され、廃止されましたが、乳歯冠は一部の歯科医院で使用されています。

アレルギーをおこしやすい物質
調査年 1993年 2000年 2009年
コバルト(17.3%) ニッケル(15.5%) ニッケル(11.6%)
ニッケル(13.5%) コバルト(14.5%) ウルシオール(10.3%)
ウルシオール(9.3%) クロム(10.6%) パラフェニレンジアミン(7.0%)
クロム ウルシオール クロム
水銀 水銀 コバルト
※日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会ジャパニーズスタンダードアレルゲンの統計による赤字は金属。

※パラフェニレンジアミン:毛髪染料として使用されていますが、徐々に使用されなくなってきています。
※ウルシオール:ウルシ科の植物に含まれる物質。触ると皮膚がかぶれることがあります(うるしかぶれ)。


ピアス ニッケルは乳歯冠のほか、ピアス、ネックレスに使用されています

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小児の虫歯治療で使用される金属

小児の虫歯治療で使用される金属には、主に銀を使用した銀合金や金銀パラジウム合金、水銀を使用したアマルガム合金、ニッケルやクロムを使用した乳歯冠があります。

金属アレルギーの予防のためには、可能であれば金属を避けた歯科治療をおこない、金属を使用するのであれば、アレルギーをおこしにくい金属を使用するのが理想です。

食べ物の産地、添加物、栽培方法などに気を使うのと同じように、虫歯治療で使用する材料にも気を使いたいものです。


1.銀合金
部分的なつめ物(インレー)やかぶせ物(クラウン)として、乳歯の虫歯治療では最も使用される金属(銀歯)です。銀を主成分として、製品により亜鉛、スズ、インジウムなどの金属を含有しています。金銀パラジウム合金よりも材質は劣ります。

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2.金銀パラジウム合金
部分的なつめ物やかぶせ物として、永久歯の虫歯治療では最も使用される金属(銀歯)です。銀合金よりも硬く丈夫で錆びにくい金属です。銀を主成分として、金、銅、パラジウム、亜鉛が、製品によりインジウム、イリジウム、スズを含有しています。


3.アマルガム合金
1970年代までは銀歯として頻繁に使用されていましたが、水銀を使用しているため、日本では1990年代以降はほとんど使用されず、2016年4月の診療報酬改定(厚生労働省)で健康保険から外され、廃止となりました。

海外滞在などで日本以外の国で歯科治療を受けていなければ、小児の口内に銀歯として使用されている可能性は極めて低く問題はないと思われます。アマルガム合金は銀、スズなどの金属に、水銀を加えてできています。

歯科用アマルガム アマルガム合金(水銀は、金属アレルギーをおこしやすい金属の一つです)

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4.乳歯冠
乳歯に使用されるかぶせ物(銀歯)です。あらかじめ作られているため、歯型をとる必要がなく簡単に作製できる反面、制度が悪く、しっかりした咬み合わせが回復できない欠点があります。

また、ステンレス(鉄、ニッケル、クロム)やニッケルクロム合金が使用されており、成分のニッケルは金属アレルギーを最もおこしやすい金属とされ、虫歯予防で使用するフッ素で容易に腐食して、溶け出すことが明らかにされています。


乳歯冠の成分 ※メーカー公表資料による
製造会社名 成分
スリーエム(3M) 鉄66〜74% クロム18〜20% ニッケル8〜11%
デンツプライシロナ ニッケル87%以上 クロム5% 銅4%

乳歯冠 あらかじめつくられた金属冠を成形して歯に装着します

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アレルギーをおこしやすい金属  金属アレルギーとピアス(ニッケルアレルギー)


当クリニックでは、アマルガム合金、乳歯冠を使用した歯科治療は開院以来おこなっておりません。また、今後もおこなう予定はありません。



●金属アレルギーの予防と治療

金属アレルギーの予防としては、毎日の歯みがきをしっかりおこない、定期的に歯科医院で歯のクリーニング(PMTC)やフッ素塗布をおこなうなどして、銀歯になるような大きな虫歯をつくらないことが大切です。また、不必要な金属製品の装着は避けるようにします。

金属アレルギー治療には、銀歯の交換のほか、金属との接触回避、金属食事制限などがあります。小児の金属アレルギーの治療は、主に銀歯をプラスチックなどのつめ物にかえていきます

小児の成長には食事は欠かせませんので、食事制限をおこなう場合は、かかりつけの医師や歯科医師と相談しながら、慎重に進めていく必要があります。

野菜 食物の産地を気にするように、口内に入れる材料にも気を付けたいものです

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