シェーグレン症候群とは
シェーグレン症候群は1933年にスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンの発表した論文にちなんで、その名前がつけられました。日本では1977年の厚生労働省研究班の研究によって、医師や歯科医師の間に知られるようになりました。

年齢は40~60歳が多く、性別では女性が圧倒的に多く(男性:女性は1:14)、国内に30万人以上の患者さんがいるとされていますが、病気にかかっていることを気付かない人も多くいます。

厚生労働省の調査によると、2008年の年間受診者数は7.9万人となっています。主な症状は口と目の乾燥です。2015年に厚生労働省の指定難病の一つに指定され、認定され ると医療費補助が得られるようになりました。シェーグレン症候群の診断基準満たし、重症であると認定されます。

ヘンリック・シェーグレン スウェーデンの眼科医 ヘンリック・シェーグレン

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シェーグレン症候群の原因
主な原因は自己免疫疾患と考えられています。自己免疫疾患とは、本来は細菌やウイルスなどの異物を除去するための免疫機能が、何らかの原因で自分の細胞や組織に対しても攻撃を加えることで発症する病気です。その他、遺伝的要因、女性ホルモン、ウイルスや感染などの環境要因も原因と考えられています。

遺伝的要因については、同一家系内にシェ―グレン症候群を発症する確率は約2%と考えられています。これはシェ―グレン症候群の患者さんがいない家系に比べると少し高いものの、遺伝するとまでは言えない程度です。

小唾液腺のリンパ球の浸潤 シェーグレン症候群に特徴的な組織像(小唾液腺の焦点リンパ球浸潤)

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シェーグレン症候群の分類
シェーグレン症候群は、原発性シェ―グレン症候群と続発性シェーグレン症候群の2つに分類されます。


1)原発性シェーグレン症候群
膠原病の合併のないシェーグレン症候群で、患者さんの60%を占めます。病気が知られるようになってきたため、原発性シェーグレン症候群の患者さんが増えています。

病変が唾液腺、涙腺に限られる「腺型」と肺、腎臓、関節、筋肉、神経など全身の臓器に及ぶ「腺外型」に分類され、患者さんの割合は7:3となっています。口の渇き(ドライマウス)と目の渇き(ドライアイ)が主な問題となります。

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2)続発性シェーグレン症候群
膠原病に合併するシェーグレン症候群で、患者さんの40%を占めます。合併する膠原病は関節リウマチ(RA)と全身性エリトマトーデス(SLE)が60%を占め、そのほかに慢性甲状腺炎(橋本病)、強皮症などがあります。

膠原病の症状と口の渇き(ドライマウス)、目の渇き(ドライアイ)が主な問題となります。

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※膠原病(こうげんびょう)とは
全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症がみられる病気の総称で、原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状がみられます。主な膠原病としてシェーグレン症候群、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、強皮症、皮膚筋炎などがあります。




シェーグレン症候群の症状
口と目の乾燥のほか、様々な症状が発症します。


1)口の乾燥(ドライマウス)
90%の患者さんに発症します。口内が乾く、ネバネバする、痛いといった症状があらわれます。食事が食べにくかったり、虫歯や口内炎が多発しやすくなります。

ドライマウスの症状
口の中の乾燥、ネバネバ感/舌の痛み(舌痛症)/舌炎口内炎/話しにくい/口唇の乾燥、ひび割れ/乾燥した食品を食べるのが困難、飲み込みにくい/夜中に口の中が乾いて何度も目を覚ます/虫歯歯周病酸蝕症(酸蝕歯)/喉のひっつき、ヒリヒリ感/食べ物の味がしない(味覚障害)/口臭  ほか

水分補給 口の乾燥

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2)目の乾燥(ドライアイ)
80~90%の患者さんに発症します。眼が乾く、異物感、痛み、かゆみなどの症状があらわれます。眼に入った異物を涙で洗い流すことができず、角膜が傷ついて視力が低下することもあります。

ドライアイの症状
涙が出ない/目のかゆみ/目の痛み、疲れ/目やにがたまる/よく見えない

目の乾燥 目の乾燥


3)口腔粘膜疾患
口の乾燥により、口腔カンジダ症、口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)など、口の中の粘膜の病気を発症しやすくなります。特に口腔カンジダ症は、約半数の患者さんにみられます。

シェーグレン症候群の患者さんにみられた口腔粘膜疾患の割合※1
シェーグレン症候群の患者さんにみられた口腔粘膜疾患の割合

舌 口腔カンジダ症など、粘膜の病気が発症しやすくなります

関連するページ  口腔カンジダ症  舌炎(溝状舌など)  扁平苔癬


4)そのほか
そのほかの症状として以下があります。

唾液腺の腫れ、痛み/発熱 肌荒れ/息切れ/鼻の渇き/鼻出血/関節痛/膣内乾燥/不妊症/疲労感/息苦しさ/記憶力低下/めまい/うつ傾向 ほか


シェーグレン症候群を合併する病気として、以下の病気があげられます。関節リウマチでは、患者さんの20%がシェーグレン症候群を合併しているといわれています。

関節リウマチ全身性エリテマト―デス強皮症抗リン脂質抗体症候群/多発性筋炎/視神経脊髄炎/血管炎/血小板減少性紫斑病/間質性腎炎/自己免疫性肝炎/慢性甲状腺炎(橋本病)甲状腺機能亢進症(バセドウ病)/皮膚筋炎/間質性肺炎/原発性胆汁性肝硬変/線維筋痛症 ほか

腫れ、痛み 唾液腺の腫れ、痛み



※1 岩渕博史 シェーグレン症候群における唾液分泌促進薬の役割 第21回 日本口腔粘膜学会総会・学術大会


シェーグレン症候群の治療は、内科、膠原病内科、リウマチ科、眼科、皮膚科、小児科、歯科、口腔外科などでおこないます。当クリニックは、ドライマウス研究会、日本シェーグレン症候群学会に所属する歯科医師が在籍しています。


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